GAP(ギャップ)とは

GAP (Good Agricultural Practices:農業生産工程管理)は、農業生産の各工程の実施、記録、点検及び評価を行うことによる持続可能な改善活動のこと。

引用:農林水産省「GAP(農業生産工程管理)をめぐる情勢」

農林水産省では、「食品安全」、「環境保全」、「労働安全」、「人権保護」、「農場経営管理」の5分野を含むGAPを国際水準GAPと呼称し、ガイドラインを策定し普及を推進している。

引用:農林水産省「GAP(農業生産工程管理)をめぐる情勢」

食品安全(取組事項の例)

食品安全に係るリスク管理

使用する水のリスク管理

異物混入の防止

農薬の適正使用と記録

農産物取扱施設の衛生管理

引用:農林水産省「GAP(農業生産工程管理)をめぐる情勢」

環境保全(取組事項の例)

環境負荷に係るリスク管理

温室効果ガス削減の取組

土づくりや施肥設計を通じた土壌管理

総合的病害虫・雑草管理(IPM)の実施

廃棄物の適正処理・利用

引用:農林水産省「GAP(農業生産工程管理)をめぐる情勢」

労働安全(取組事項の例)

労働安全に係るリスク管理

機械・設備の点検・整備

作業安全用の保護具の着用

農場内の整理整頓、清掃

農薬の適切な取扱と保管

引用:農林水産省「GAP(農業生産工程管理)をめぐる情勢」

人権保護(取組事項の例)

労働者への労働条件の提示と厳守

家族間の十分な話し合いに基づく家族経営の実施

技能実習生等の受入れに係る環境整備

引用:農林水産省「GAP(農業生産工程管理)をめぐる情勢」

農場経営管理(取組事項の例)

基本情報の整理

業務毎の責任者の配置と農場ルールの策定

トレーサビリティの確保と記録の作成・保存

クレームへの対応手順の策定

GAPに取り組むことで、「食品安全」、「環境保全」、「労働安全」、「人権保護」、「農場経営管理」の各分野において改善効果がある。

認証取得に取り組んだ効果

肥料・農薬の管理において有効であり、生産物への考査汚染リスクが軽減したと感じる。【個人経営体・野菜】

以前は感覚で施肥していたが、データを蓄積・分析して適正施肥に努めるようになった。【個人経営体・野菜】

労働安全の意識が高まり、従業員が自主的に機械の整備・点検に取り組むようになった。【法人経営体・果樹】

GAPに基づいく作業者への教育・訓練は、外国人技能実習生の育成にも大変有効。【法人経営体・野菜】

家族内の役割分担が明確化され、各人の責任感も向上した。【個人経営体・野菜】

GAPの取組に伴う片付けや記録の手間は増えたが、整頓された環境で計画に基づき効果的に作業を実施できるようになり、全体の作業時間の減少につながった。【法人経営体・穀物】

認証取得により実需者から前向きな評価が得られるようになった。お中元・お歳暮商品にも取り上げてもられるようになった。【法人経営体・野菜】

※GAP認証取得経営体への訪問調査の結果から一部を抜粋
出所:令和元年度GAP導入影響分析のための調査委託事業[農林水産省]


認証取得前後で改善した内容

従業員の責任感の向上=======>59%

従業員の自主性の向上=======>54%

販売先への信頼(営業のしやすさ)=>53%

従業員間の意思疎通========>48%

生産・販売計画の立てやすさ====>43%

資材の不良在庫の削減=======>41%

従業員の作業分担範囲の拡大====>41%

従業員評価の適正化========>34%

アピール力の強化(広報や取材)==>34%

販路の拡大============>31%

中間管理職の育成=========>31%

生産コストの削減=========>30%

※GAP認証取得経営体(母数589)へのアンケートの結果、3割以上の経営体が「かなり改善した」「改善した」「やや改善した」と回答した項目を掲載
出所:令和元年度GAP導入影響分析のための調査委託事業[農林水産省]


このページは、令和6年1月に、農林水産省農産局農業環境対策課が公開した「GAP(農業生産工程管理)をめぐる情勢」(https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/g_summary/megurujyousei.pdf)を引用しています。

国際水準GAPの推進について:農林水産省 (maff.go.jp)